生活百花

生活をちょっと良くするものを紹介。

実存主義の超大物!ハイデガーの哲学とおすすめの本7冊を紹介!

f:id:kumakuma30:20210404105259j:plain

引用:File:Heidegger 1 (1960).jpg - Wikimedia Commons

 おはようございます!今回はハイデガーの哲学の解説と、おすすめのハイデガーの本を紹介したいと思います。

ハイデガーと言えばウィトゲンシュタインと並んで20世紀を代表する哲学者です。実存主義や大陸哲学を学ぶ上でも避けて通れないほどの超大物です。

しかしハイデガー哲学は超難解だと言われています。沢山いる著名な哲学者の中でも特に難解な人物の一人だとされています。

今回はそんなハイデガーの哲学を解説して行きます。もちろん他の哲学者もそうであるように、ハイデガー自身もいろんな事を言っているので全てはとても解説し切れないですが、その哲学の肝の部分をほんの少しでも伝えたいと思います。

 

目次

 

ハイデガーの哲学とは?何を言った人?

ハイデガー実存主義の哲学者として有名ですが、そもそも実存主義とは何でしょうか。

実存主義は「実存は本質に先立つ」という言葉に代表されるように、人間の実存に注目した哲学です。

例えばコップならば「飲み物を飲む」という本質があり、箸ならば「食べ物を掴む」という本質があって作られるわけです。

一方で人間はどうか?人間は基本的には目的などを持つ前に、気づいたら意識があって、この世に自分が居るわけです。本質よりも先に実存がある、と考えるのが実存主義です。

ハイデガーもその実存主義の哲学者なのですが、中でも「時間」に注目します。

ハイデガーによると、人間は時間の中に投げ込まれたような存在だ、と考えます。

そして人間の実存は有限であり、人間は「死」に向かって進んでいる存在だと言います。

ここで少しハイデガーの生きた時代背景を見ていくと、産業革命後のヨーロッパは急激に工業化が進み、また情報伝達の速度も上がってメディアが発展する事で人間のインプットもどんどん増え、また宗教などの既存の価値観も衰退しつつある時代でした。

要するに人間の主体性や個性がどんどん無くなり、皆が似たりよったりの均一的な存在になり始めた時期でもあります。これは現代の日本にもかなり通ずる点がありますよね。

ここでハイデガーの哲学に戻ると、ハイデガーはそういった人間が均一的になっている状態は良くないと言いました。

そして人間はもっと「死」に向き合うべきであると。人間は普段、仕事に追われたり、インプットが増えた事によって、死に向き合って自分を見つめ直す機会が減っていると。

そうではなく死に向き合うことで、有り体な表現を使うと個性であったり、主体性のようなものを取り戻せるんだ、という事を言ったわけです。

これが超ざっくりと解説したハイデガーの哲学の肝です。ただ、実際のハイデガーはもっと深い事を言ってますし、またいろんな事に言及しています。

そこでここからは、ハイデガーについて書かれた入門書・解説書や、ハイデガー本人の著作などを紹介して行きたいと思います。

 

 ・ハイデガーのおすすめの本7冊!

1.ハイデガー入門 竹田青嗣

ハイデガーの主著である『存在と時間』の解説はもちろん、思想が大きく変わった後期ハイデガーの解説や、ハイデガーを巡る現代哲学の論争まで、とにかく手広く解説しているハイデガーの入門書です。

とにかくわかりやすい。難解なハイデガー哲学をここまでわかりやすくできるものかと感心します。

そしてただの入門書に留まらず、ハイデガーの影響を受けて哲学史がどう動いたのか、という事も理解できるのが良いですね。自身でハイデガーについて考える時にも大きな手助けになります。

著者の竹田さんは非常に有名な哲学者で、著作もたくさん出しているので、興味が湧いた方は他の本もぜひ読んでいただきたいですね。

 

2.ハイデガー存在と時間』入門 轟孝夫

『存在の時間』の解説に特化したハイデガーの入門書。

まず非常にわかりやすいですし、何より「正確さ」があるのが良いですね。具体的に『存在と時間』のどの部分を解説しているのか、というのがハッキリしているので、とても信頼性があります。

 ぜひとも『存在と時間』を読む前に、あるいは読みながらこちらの入門書も読んでいただきたいです。やはり哲学書というのは原著にいきなり当たっても難解すぎる場合が多いので、こういった入門書と一緒に読むのがオススメですね。

 

3.存在と時間 マルティン・ハイデッガー

 言わずと知れたハイデガーのもっとも有名な著作であり、哲学史に激震を与えた名著です。

正直、難解です。というか読んでて意味が完璧に理解できる人はまず居ないと思います。重要なのは何度も読む事で、それによって理解が深まっていきます。もちろん入門書などと並行して読むのがオススメです。

存在と時間』の訳書は沢山出ていますが、中でもこの細谷貞雄さんの本はオススメです。正確に訳せるようにかなり言葉に気を使っているのがわかります。もちろんこの辺は好みなので、他の方の訳書を読んで見るのも良いかも知れません。

 

4.芸術作品の根源 マルティン・ハイデッガー

ハイデガーが芸術について語った一冊です。

もちろん単に芸術批評みたいな事を書いてるのではなく、ハイデガーの哲学を芸術を通して知る事ができる本です。

存在と時間』とは大きく変わったと言われる後期ハイデガーの認識論、真理論が展開されています。

やはり難解ではありますが、ハイデガー本人の著作の中ではかなりわかりやすいとされている本です。

 

5.技術への問い マルティン・ハイデッガー

 ハイデガーが「技術」について語った本。

現代の様々な問題が技術的に解決されたとして、その世界は「パラダイス」だと言えるのだろうか。という、現代にもめちゃくちゃ突き刺さるテーマで書かれた本です。

実際、現代でも環境問題など様々な議論で引用される事の多い本です。ハイデガーが哲学意外にも大きな影響を与えたのがよくわかります。

この本を読むことで「人間は技術とどう付き合うべきか」という事が見えてくると思います。

 

6.形而上学入門 マルティン・ハイデッガー

 形而上学入門!と書いていますが、ほぼ形而上学の要素はなく、ハイデガー存在論の本であると言えます。

冒頭にもあるように、「なぜ一体、存在者があるのか、そしてむしろ無があるのではないか?」と問ういていて、物が存在するとはどういったことなのかを突き詰めています。

こちらもハイデガーの後期の思想がわかる一冊で、講義録なのでハイデガーの著作の中では比較的読みやすいとされています。

 

7.ハイデガーの思想 木田元

 木田元さんという、日本のハイデガー研究の大家が書いた本です。

存在と時間』の解説、後期ハイデガーの思想、そしてハイデガーとナチズムの関係にも切り込んでいます。

非常に面白くハイデガーに対する理解が深まる本です。ただ、わかりやすいかと言われれば他のハイデガーの入門書に軍配が上がるかも知れません。

いろんなハイデガーの入門書や本人の著作を読んだ上で、木田元さんのハイデガー論として読むと面白い一冊だと思います。

 

・まとめ

以上、ハイデガーのおすすめの本を紹介させていただきました!

やはりどれも超難関ですね。というか筆者自身も完璧に理解できているわけではないので、「果たしてこの解説で良いだろうか」と悩みながら書きました。

やはりハイデガーは解説書や訳書が充実しているのが良いですね。哲学そのものは難解ですが、学ぶための環境は整備されていると思います。

ぜひとも皆さんもハイデガーの深すぎる思想に触れていただきたいなと思います。最後までお読みいただきありがとうござました!