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『バカの壁』の著者、解剖学者・養老孟司さんの本おすすめ10冊!

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 おはようございます。今回は解剖学者の養老孟司さんのおすすめ本を紹介したいと思います。

養老孟司さんを簡単に説明すると、東大医学部卒で、本職は解剖学者をしている方です。

解剖学や脳科学を始めとした医学的・生物学的な知識に加え、哲学や社会科学一般にも詳しく、幅広い知識を持ち合わせている方です。

執筆活動にも熱心で、代表作の『バカの壁』は400万部を超える、戦後日本でも4位の大ベストセラーになりました。

また言語や意識、文化や社会制度などの人間の営みが脳という器官の構造に対応している、という「唯脳論」の提唱者としても知られています。

以上のような凄い方なのですが、養老さんの著作はどれもわかりやすくて、かつ非常に面白いものばかりです。今回はその中でもおすすめのものをピックアップして紹介させていただきました。

 

目次

 

1.バカの壁

よく人間は「話せば分かる」と言いますが、政治にせよ日常にせよ、実際は話し合っても分かり合えない事が多い。それは人間の脳内に「バカの壁」が存在しているからだ、と筆者は言います。

人間は所詮、自分の脳に入ってくる事しか理解できない。思い込みや確証バイアスなどがあって、その延長線上に戦争やテロが起きているんだ、という内容です。

まぁ簡単にまとめるとこのような内容の本なのですが、養老さんが脳科学や社会科学の幅広い知識を動員しながら、順序立てて説明してくれています。

なにか人間に対する捉え方が変わって、生きるのが楽になるような本です。オススメです。

 

2.AIの壁

 AIの本といえば腐るほど出版されていますが、その中でも本著は非常にオススメです。

AIが非常に浸透している将棋界の羽生善治さん、経済学者でAIにも詳しい井上智洋さん、テクノロジーと人間のあり方を考察してきた哲学者の岡本裕一朗さんなど、錚々たるメンツと養老さんが対談します。

養老さんは解剖学者で神経科学にも詳しい、言わば人間の認知のプロなわけですが、その養老さんがそれぞれの分野でAIに詳しい方々と話すのは、やはり面白いです。

実際のところAIは人間とどう違うのか、AIはどこまで進歩するのか、というのが見てくるような一冊ですね。

 

3.神は詳細に宿る

養老さんのエッセイをいろんな媒体から選りすぐったエッセイ集。共通して意識や生物について語ったエッセイが集められています。

とにかくチョイスが良くて、普通エッセイ集といえば普通の本と比べてあまり深く内容を掘り下げられないイメージがあると思いますが、本著はそんな事はありません。

養老さんの意識に対する捉え方や、死生観などがすごくよくわかります。とても本質的な部分について語ったエッセイを集めているなと。養老さんの思想を知るにはかなりオススメな一冊ですね。

 

4.死の壁

 『バカの壁』に続く第二弾的なポジションの本です。ただ内容は『バカの壁』とはかなり異なります。

養老さんが死について語った本で、解剖学的な「死」について、社会的な文脈での「死」についてなど、様々な角度で「死」を考察しています。

もちろん「死」と言えばネガティブなイメージがあるかも知れませんが、なんだかこの本は「死」への向き合い方がわかった気がして、生きる意欲が沸いてくるような一冊です。

とにかく今ある人生を大切にしよう、という風に私は思いました。

 

5,無思想の発見

よく日本人は無宗教であり、無思想であり、無哲学であると言います。特に宗教的なアイデンティティも自認していないし、強い政治思想や信念を持っている人も少ないように見える。

しかし養老さんはそれは「無思想」という固有の思想である、と言います。この「無思想」を意識や無意識、現代社会の背景などと絡めて解説したのが本著です。

まぁ一言では言い表せないですが、めちゃくちゃ深くて面白いです。そして日本人の思想がどういったものか知りたい方にオススメです。一見すると奇妙で難解に見える日本人の思想がよく考察されています。

 

6.唯脳論

養老孟司さんといえば「唯脳論」を唱えた人として有名ですが、まさにその唯脳論について説いた本です。

まぁ一言で言うと「ヒトの営みは全て脳に起因する」という本です。

実は本著の中でも言及されているように、世界の全てを人間の認識に起因するものだと見なすような哲学は大昔からあったわけです。しかし本著が面白いのは、単に認識論的な話をしているのではなく、伝統や社会制度といった社会的なもの、運動や時間などの物理学的なものにまで言及している。それらが解剖学的に脳のどの部位に対応しているのか、という事まで説明している。

単なる認識論ではなくて「唯脳論」とはよく言ったもので、独創的で画期的な思想だと思います。もっと評価されるべき一冊、後世に評価されてそうな一冊です。

 

7.超バカの壁

バカの壁』『死の壁』に対する三部作目的な著作です。

養老さんが解剖学的な知識を駆使しつつ、いろんな社会問題を語っていきます。

テーマは少子化靖国問題、男女の問題とテーマは様々ですが、どれも視点が斬新なんですね。「なるほど、そういう考え方もあったのか」と一つ一つ驚かされます。

バカの壁』『死の壁』の内容を踏まえつつ社会問題を幅広く語っていく形なので、まずはこの二作を読んでみて、興味を持った方に是非読んでいただきたいですね。

 

8.世間とズレちゃうのはしょうがない

養老さんと伊集院光さんとの対談本。

タイトルの通り世間からズレる事について書いてある本ですが、よくある「ズレを気にせず個性を活かして自由に生きよう!」という自己啓発本のような内容ではありません。

お二人とも世間とズレた経験や、自分が世間とズレている事を自覚しつつ、どうやって世間と折り合いを付けていこうか、という事を話し合っています。

知識も経験もある二人の対談なので非常に面白いです。よくあるビジネス本などと違って、本当に人間関係などについて向き合える本ですね。

 

9.死を受け入れること ー生と死をめぐる対話ー

こちらも対談本で、訪問診療医の小堀さんとの対談になります。

解剖学者と訪問診療医、どちらも「死」と密接に関係する仕事をしているお二人の言葉は、やはり重みがあります。

よく「死」について理屈っぽく観念論的な議論をする人がいろんな所に居ますが、やはりこういった現場の方々の話のほうが地に足がついているというか、切実で身にしみて伝わってくるような気がします。

しかし改めて医師とはかなり大変な仕事なんだなぁと実感させられますね。あまり知らいない世界の話を聞ける点でもオススメの本です。

 

10.遺言

 「遺言」と書いてますが、本当に遺言のように言い残した事を書いているというよりも、養老さんの思索や研究の集大成とも呼べるような、ものすごい本です。

言葉、意識、芸術、デジタル、社会など、あらゆるテーマに言及しています。遺言なのにこれからの社会の事を予言しているかのような、そんな一冊です。

ぜひ読んでほしいです。そこまで難解な本ではありませんが、養老さんが考え抜いた末に出た言葉というか、そういった深みのようなものを感じる一冊です。

 

 ・まとめ

以上、養老孟司さんのおすすめの本を紹介させていただきました!

やはりいろんな本を読んでて思いましたが、養老さんは知の巨人と呼ぶに相応しい方ですね。

物理学者ならば物理、経済学者ならば経済など、知識があると言われる人は大抵なにかの分野に特化しているものですが、養老さんは解剖学者として生物学的・医学的な知識に長けながら、他の分野にもめっぽう詳しいゼネラリスト的な一面もある。

 それらの思想が絡み合って、なんとも言えない、独自で混沌としたような思想が展開されています。

ぜひとも皆さんにもこの感覚を味わっていただきたいです。

最後までお読みいただきありがとうございました!