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大陸合理主義の超大物!スピノザの哲学とおすすめの本8選!

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画像引用元:File:Spinoza.jpg - Wikimedia Commons

 おはようございます。今回はスピノザという哲学者に関する記事です!

スピノザと言えばデカルトライプニッツと並ぶ大陸合理主義の超大物です。

哲学を学ぶ人ならば絶対に名前ぐらいは聞いた事がある人物だと思うのですが、しかし近代哲学は大物がかなりたくさんいて、スピノザもそういった人物の一人という感じで意外と掘り下げた事がない人は多いと思います。

そこでスピノザの大まかな哲学と、スピノザについて書かれた本や、スピノザ本人のおすすめの本を紹介したいと思います。

 

目次

 

スピノザとはどんな人?どんな哲学?

スピノザは大陸合理主義(大陸合理論)、または合理主義哲学と呼ばれる立場の哲学者です。

この「大陸」とはヨーロッパ大陸、つまりフランスやドイツなどを中心に発展した哲学という意味です。逆に大陸から独立しているイギリスではイギリス経験論という哲学が発展し、近代の哲学史ではこの二つの哲学が二大派閥のような感じになっていました。

イギリス経験論では、人間の知識や観念などは経験を通して得られるという考え方をします。つまり人間は生まれた時は白紙であり、そこに世界からいろんな経験を得て知識や観念が作られていく、と考えます。

それに対して合理主義哲学は、人間は生得的に、つまり生まれながらに理性やそれを獲得する手段を持っていて、それをベースに知識や観念が作られていくと考えます。

ざっくり言うとこの二つの違いがある中で、スピノザは合理主義哲学という立場に属していました。

そんなスピノザの哲学は「汎神論」と呼ばれます。始めに言っておくとスピノザは全く宗教的な事を言っているのではなく、すごく科学的な哲学を唱えた人物です。

簡単に言うと、スピノザ以前の哲学や宗教は、本質的なものとそれ以外のものを区別していました。キリスト教は「神」が全知全能であり、その神が世界を作ったと。言い換えると神と世界を分離していたわけです。

また哲学でもプラトンの「イデア論」であったり、デカルト心身二元論もそうですが、精神的なものと物質的なものを区別していたわけです。

それをスピノザは神とはそういった超越的なものではなく、万物に内在するものであり、神は自然と一体である、というような考え方をしていたのです。

これは現代の物理学や神経科学などと非常に近い発想です。物理学もそうですが、世界の全てが本質的なものであって、その中に人間が存在しているという話ですね。日本神道アニミズムにも近い発想かも知れません。

まぁ超ざっくりと表面だけ説明するとスピノザは以上のような事を考えた人ですが、実際のスピノザはもっと倫理学や国家論など幅広い物事に言及していますし、その哲学もここでは語りきれないほど深いものです。

なのでそのスピノザの哲学を掘り下げた本達をここから紹介したいと思います。

 

スピノザのおすすめ本8選!

1.はじめてのスピノザ 國分功一郎

いくつかあるスピノザの入門書の中でもかなりオススメな一冊。

スピノザはかなり独自の概念とか単語が多いタイプの哲学者なのですが、それらの独自の部分をかなりわかりやすく解説しています。

スピノザの基本的なエッセンスを解説しつつ、他のスピノザ関連の著作を読み解けるような基礎力も身につく、そんな入門書ですね。

また、スピノザの哲学を踏まえて現代社会をどう読み解けばよいか、という著者なりの方法論も示していて、それもスピノザを学ぶ上でとても参考になると思います。

 

2.スピノザの世界 上野修

スピノザ哲学でもっとも重要な「汎神論」をかなり深く、しかもわかりやすく掘り下げた一冊です。

結局のところスピノザという哲学者が何を言おうとしたのか、というのが凄く伝わってきます。著者の恐ろしいまでのスピノザへの研究と造詣の深さが伺い知れます。

また哲学史の中でスピノザがどういったポジションに居るのか、他の哲学者とどういった関係にあるのか、というのも掴める一冊かなと思います。とてもオススメです。

 

3.エチカ スピノザ

言わずと知れたスピノザ本人の代表作です。正直、かなり難解です。

いろんなスピノザの入門書や解説書などを読んだ上で、この本も何度も読み直していてだきたいと思います。

汎神論や心身一元論など、スピノザ哲学の芯となる部分を本人が解説しています。

しかし多くの古典がそうであるように、その内容そのものも勉強にはなるのですが、それ以上に「偉人がなにを考えて表現して来たのか」という経緯や思考の論理がすごく参考になるんですよね。

本著もそういった意味で本物の名著です。ハードルは高いですが、ぜひ読んでいただきたい。

 

4.知性改善論 スピノザ

 スピノザの著作といえばこの知性改造論も有名ですね。エチカよりも読みやすく、かつエチカの導入的な位置づけの本でもあるので、こちらを先に読むのもいいかも知れません。

知性を改造して物事を認識し、真の幸福に近づくための方法論が説かれています。

やはりコチラの本も一言では語れないほど深いです。知性や認識に対してここまでの考察が可能なんだなぁ、という衝撃を受けます。その辺の幸福論とも一線を画す本です。

 

5.スピノザ ドゥルーズ

ドゥルーズが書いたスピノザの解説書です。ドゥルーズポスト構造主義の超大物で、哲学史で重要な人物です。

本著はスピノザの解説書としても素晴らしい一冊ですが、一方で「ドゥルーズから見たスピノザ論」的な側面もあります。

それが恐ろしいほどの深みを生み出している本だと思います。スピノザ理解とドゥルーズ理解の両方に繋がると共に、この二つの視点が実に見事に共鳴しています。

とにかく読んでほしいです。普通の解説書ではない凄みがあります。

 

6.スピノザの方法 國分功一郎

『はじめてのスピノザ』を書いた國分功一郎さんの著作です。

スピノザの「方法」と書いていますが、まさにスピノザが物事を考え、論を立てる上でどのような方法論を打ち立てたのか、という事を考えた本です。

まさに人間はわからない事だらけであり、絶対的な指標がない中で何かを思索するのは、暗闇の中を歩いていくようなものです。その暗闇に案内人は存在するのか、という事を考えたのがスピノザという哲学者なんですね。そのエッセンスを解き明かした本です。

 

7.よく生きるための哲学  フレデリック ルノワール

『エチカ』の中でも「肯定の思想」にスポットを当てた一冊です。

タイトルの通り「よく生きる」ための哲学を説いてますが、その辺の自己啓発本とは全く違います。

本当の意味で「よく生きるとは何か」がわかる本で、ゲーテニーチェアインシュタインなども勇気づけられたという哲学が詰まっています。

幸福になりたい方、雑念に惑わされずに自分を貫きたい方などにオススメです。

 

8.神学・政治論 スピノザ

 スピノザ本人の著作で、神学や政治学的な主張が書かれてあります。

スピノザは聖書のみを絶対視する神学者を批判し、神学と哲学を分離するという偉業を成し遂げた人物です。また政治学でも独創的な政治哲学を展開しています。

哲学史の超大物として知られるスピノザですが、神学や政治学などの分野でも大きな功績を残した人物です。改めてこれらの本を読む事で、スピノザ哲学の範囲の広さが伝わってきます。

 

 ・まとめ

以上、スピノザ哲学の概略と、おすすめのスピノザの本を紹介させていただきました。

 やはりどの哲学者の本にも言える事かも知れませんが、哲学の本は一冊一冊が深いですね。特にスピノザの本は群を抜いて深みがあります。

限られたスペースでは本の良さがとても伝えきれないですが、ともかくどういった本かという興味だけでも持っていただけると非常に嬉しいです。まず気になった一冊を読んでみてほしいと思います。

ぜひとも皆さんにも素晴らしいスピノザ哲学に触れていただきたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました!